インドとミャンマーに挟まれ
人口密度が高く、町はいつも忙しそうに
リキシャやバスがクラクションを響かせながら行き交う。
笑顔で走り回る子供達。
時に大声で怒鳴り声をあげる大人達。
眠そうな野良犬。
日本では考えられない不思議な活気に満ちた国
バングラデシュ。
首都ダッカより東にバスで2時間半、時々3時間。
Comilla(クミッラ)という小さな町があります。
そんな場所でIKOHは始まりました。
小さな町の小さな工場で
一つ一つ丁寧に職人の手で作られた商品は
手仕事ならではの、
温かみ、素朴さ、優しさに溢れています。
2016年5月 私たちはそれぞれ住み慣れた東京・横浜を離れ
京都と滋賀の丁度堺目である、比叡山の中腹に拠点を移す。
京都の銀閣寺の参道で美容師をしていた祖母が残してくれた家。そこに新たな気持ちで事務所を構えた。
そんな時、前職でお世話になったバングラデシュのメーカーさんより
『日本でビジネスをはじめたい。デザインをしてほしい。』
アジアでの物作りが長かった私たちはみんなに何か恩返しがしたい、そんな思いを抱えていた。そしてふたつ返事でそれを受ける事に。
2017年4月 ブランドがデビュー。
前職でバングラデシュに出張で訪れていた私は、イードというイスラム教の犠牲祭で牛や羊を神にささげるお祭りに遭遇。
町中至る所で牛や羊が殺され、街の中が血なまぐさいという日本では考えられない状況におかれた。
彼らにとっては最高のお祭り、最高のおもてなしだった。
しかし、私にはあまりの衝撃と強烈な臭いで帰国後の数年間、肉が食べれなくなった記憶が脳裏をよぎる。
正直、最初は安易な気持ちではじめたブランド。
言葉の壁 価値観の違い 食も文化も違う彼らとさまざまな問題にぶつかり合う事になる。
企業デザイナーの経験が長かった私たち、もちろん個人のブランドも持った事がなく何もかも初めての経験。
しかし、始めたからにはいい加減な事はしたくない。
物作りを通して彼らと真剣に向き合う事。
そして彼らの持つ優れた素材と技術をどうデザインに落とし込むか。
バングラデシュはアジアでは最貧国、過剰な労働と賃金の安さが問題とされている。
また、近年低賃金で生産できると、バングラデシュは各国の大手アパレルの生産拠点となり大規模な工場がどんどん増えている。
そんな中、少量で手仕事の多い商品の生産は彼らにとってはおいしい話ではないはず。
でも違った。丁寧に真剣に商品と向き合ってくれる彼らの顔は本気だ。
自分たちの技術を、職人魂を正面からぶつけられた。
より良く、より彼らの技術や知識を生かせるものへデザイン変更も何度となくした。
こうして、彼らと私達が一緒に作り上げたIKOHが形になった。
合皮ではなく本革にこだわる理由。
『より長く使ってほしい』
使うたびに愛着がうまれ身体になじむものに。
そんな思いから私たちは
バングラデシュのすぐれた天然素材を使用しています。
本革は時間とともに変化し、それぞれの表情を見せてくれます。